Nudge(ナッジ)は、部下育成手法としての「ティーチング」でも「コーチング」でもない、第三のアプローチ法です。
ティーチングは、上司が持っている知識、技術、経験などを相手に伝えることであり、コーチングは、双方向コミュニケーションを通して、部下の気づきと自発的な行動を促すことがですが、Nudgeは、場合によっては知識を付与し、選択肢を提案しながら、1on1面談を通じて、部下を「望ましい方向に、そっと押す」アプローチ法です。
技術を習得するには反復トレーニング(大量行動)が必要です。高業績営業マンは有効面談件数や顧客接点の質と量(大量行動)を重視しています。
部下が成長し成果を上げるためには、上司は部下を正しく「方向づける」と同時に「行動量」を確保することの重要性を認識させる必要があります。
しかし、ただ単に上司が「長時間労働」や「過剰なノルマ」を強制するだけでは、ブラック企業と呼ばれ、離職者が増えるだけです。
同じ「大量行動」でも、「強制されて取り組む」のと「やりがいを持って取り組む」のでは、大きく意味が異なります。後者からは「改善」「工夫」「アイデア」が生まれて、「効率的」で「効果的」な「大量行動」がとれるようになります
社員が「やりがいを持って取り組む」ためには、「成果報酬型」のモチベーション2.0だけでは、次第にうまく機能しなくなります。1on1面談を通じて「働く目的」「成長」「自律」に焦点を当てた、モチベーション3.0への取り組みが必要です。
1on1面談を導入しても、部下は心の状態をすぐに開示してくれるとは限りません。また、本人自身が心の状態をあまり認識していない場合もあります。
そのような時に、定期的なEQ測定が「心のブレーキ」を知るヒントを与えてくれます。「積極性の項目がいつも高いね」「ポジティブ思考力が前回より落ちたけど、何か心当たりがあるかな?」など、EQ測定結果のフィードバックをきっかけとして、スムーズに面談に入ることができます。
ある行動をとる(あるいはとらない)のは、理由があります。
①思考の結果 ②習慣的な選択 ③マインドセット ④感情 ⑤認知傾向、などが行動に影響を与えます。
中でも「感情」は、私達の無意識の「選択」や「行動」に大きな影響を及ぼします。自己の感情の状態を定期的に把握し、心のブレーキの存在とその理由を考える習慣を持つことで、感情を良い状態にコントロールする能力(感情リテラシー)を高めることができます。
マインドセットとは、個人が物事を判断したり行動したりする際に基準とする考え方であり、その人の「心の持ち方」と言えます。
「感情」は、私達の無意識の「選択」や「行動」に大きな影響を及ぼしますが、人はいつも感情のままふるまうわけではありません。
「こうありたい」「こうなりたい」という願望を持ち、心のベクトルをその方向に向けている人は、「感情」をコントロールし、「よりよい習慣」を作ることができます。
Nudgeは、「それは自分の成長につながるか」と「それは誰かに貢献するか」を価値基準の基本とし、マインドセットのチューニング(心の向きを調整する)を促します。
「思考」と「行動」を「習慣化」するには、反復行動が必要です。
Nudgeは上司と部下が定期的に行なう1on1面談を通じて[1]マインドセットをチューニングする。[2]感情リテラシーを高める。[3]思考と行動の習慣化を促す。というサイクルを回すことです。
Nudgeサイクル
Nudgeリーダー基礎研修[理論編](3時間) | |
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1on1面談 | 1on1面談の目的 / Nudgeの5ステップ |
感情の構造 | 認知スタイルと感情 / 選択と習慣 |
マインドセット | EQ測定と感情リテラシー / Nudgeサイクル |
Nudgeリーダー基礎研修[実践編](3時間) | |
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リレーション | 信頼関係の構築(ワークショップ) |
フィードバック | EQ測定結果のフィードバック(ワークショップ) |
行動と習慣化 | マインドセットと習慣化のための行動(ワークショップ) |